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ホームがんの治療>腫瘍マーカ(臨床検査科)



腫瘍マーカーとは、本来ならば腫瘍細胞が産生する特異性の高い物質で、血液・分泌物中から検出或いは定量されると腫瘍の存在を意味するものであるが、その様な物質は通常の検査対象として測定されていません。
このため、腫瘍マーカーのほとんどは腫瘍細胞も正常細胞も作る物質ではあるが、腫瘍細胞の方が大量に産生する「癌関連物質」とも言うべき物質です。
現在、腫瘍マーカーは「癌(=腫瘍)細胞が作る物質、または体内に癌があることに反応して非癌細胞が作る物質で、それらを組織、体液、排泄物などで検出することが癌の存在、種類、進行の程度を知る上で目印となるもの」と定義されます。
従って、その測定値が正常領域か異常領域かを区別する境界線である基準値があり、この基準値は測定方法や測定機器(病院)により異なります。

今日、臨床では腫瘍マーカーは癌スクリーニングや診断、治療経過のモニタリングに用いられています。
しかし、一部の腫瘍マーカーは、呼吸器疾患や子宮内膜症、自己免疫疾患などの良性疾患と喫煙などの生活習慣で測定値が上昇する場合があり、前述したように各臓器に特異的な腫瘍マーカーが少ないため、複数の腫瘍マーカーを併用することでその欠点を補っています。
以下に主な腫瘍マーカーについて説明します。




1. AFP(α-フェトプロテイン、alpha-fetoprotein)
血中AFPは胎生期の卵黄嚢や肝臓で生理的に産生される癌胎児性蛋白である。
肝細胞癌のスクリーニングや治療効果の判定に用いられるが、肝芽細胞腫、ヨークサック腫瘍、肝硬変、肝炎、妊娠後期にも高値を示す。

2. BCA225
血中BCA225は乳癌で特異的に高値を示すが、特に再発乳癌のときに陽性率が高い。
その為、乳癌術後の再発や治療の経過観察に有用です。

3. BFP(塩基性フェトプロテイン、basic fetoprotein)
BFPは癌胎児性蛋白のひとつで、広範囲の悪性腫瘍に対するマーカーである。
血中BFPは消化器、泌尿・生殖器、及び肺小細胞癌などの腫瘍に高値を示すが、特異性が低いために肝炎や肝硬変、子宮疾患、前立腺疾患などの良性疾患でも疑陽性になる。
また、尿中BFPは尿路系腫瘍の腫瘍マーカーとしても有用です。

4. CEA(癌胎児性抗原、carcinoembryonic antigen)
CEAは大腸癌組織の抽出物であり、胎児の消化管にも存在する癌胎児性抗原である。
血中CEAは食道、胃、直腸等の消化器系の腫瘍マーカーとして広く用いられているが、乳癌や卵巣癌などの多くの腫瘍で高値となるため臓器特異性は低く、良性疾患やヘビースモカーでも疑陽性となる。

5. CA15-3(carbohydrate antigen15-3)
CA15-3はヒト乳脂球の膜上に存在する抗原(MAM-6)を用いて作製した抗体が認識する抗原である。
血中CA15-3は乳癌に対する特異性は高いが、原発乳癌よりむしろ進行性乳癌や再発乳癌の陽性率が高いため、再発の予知や治療効果の判定として有用です。

6. CA125(carbohydrate antigen125)
CA125はヒト卵巣漿液性腺癌の培養細胞を用いて得られたモノクローナル抗体が認識する癌関連抗原である。
血中CA125は卵巣癌で約80%の陽性率を認めるが、子宮内膜症や性周期、妊娠により血中濃度が上昇するためその判定には注意が必要です。

7. CA54/61(CA546、carbohydrate antigen54/61)
血中CA54/61は卵巣癌に高い陽性率を示すが、なかでも粘液性嚢胞腺癌では早期から高値となる。
また、卵巣の良性腫瘍や性周期、妊娠による影響が少なく特異性が高いため、卵巣癌の診断に有用である。

8. CA19-9(carbohydrate antigen19-9)
CA19-9はLewis式血液型物質に関連した腫瘍マーカーのひとつである。
血中CA19-9は消化器系の腫瘍のスクリーニングなどに用いられるが、特に膵臓・胆道癌で陽性率が高い。
そのため、膵臓癌の治療効果の判定や再発の早期発見に効果を発揮する。

9. CA72-4(carbohydrate antigen72-4)
血中CA72-4は卵巣癌に対する腫瘍マーカーではあるが、乳癌や胃癌、大腸癌の検出にも有用である。
また、卵巣や肝臓、腎臓の良性疾患における疑陽性率が低く癌に対する特異性が高い。

10. DUPAN-2(膵癌関連糖蛋白坑原、pancreatic cancer associated antigen)
血中DUPAN-2は消化器系の腫瘍マーカーとして用いられるが、特に膵癌、胆道癌、肝癌で高い陽性率が認められる。
肝硬変、肝炎時の疑陽性率も高いため、その判定には注意する必要がある。

11. エラスターゼ1(elastase1)
エラスターゼ1は肝臓から分泌される蛋白分解酵素であり、特異性が低く広義な意味での腫瘍マーカーである。
血中エラスターゼ1は膵癌で早期に高値を示す。
良性膵疾患でもその病勢に応じて測定値が増減するため、膵癌スクリーニングだけでなく膵疾患の経過観察にも用いられる。

12. フェリチン(ferritin)
血中フェリチンは鉄貯蔵蛋白であり、悪性腫瘍や炎症性疾患で非特異的に上昇する。
このため、他の腫瘍マーカーと組み合わせることで白血病、膵癌、肝癌の診断に用いられる。

13. IAP(免疫抑制酸性蛋白、immunosuppressive acidic protein)
IAPはα1酸性糖蛋白のひとつで、主にマクロファージで産生され宿主の免疫能を抑制する作用を持っている。
血中IAPは腫瘍マーカーとして広範囲の腫瘍で高値となるが、炎症性疾患や免疫能の低下でも測定値の上昇を示すため癌との鑑別が必要である。

14. KM01
KM01は、Lewis血液型物質に関連した癌糖鎖抗原である。
血中KM01は消化器系の癌で高い陽性率を示すが、なかでも膵臓癌、胆道癌、肝臓癌で高値を認める。

15. NSE(神経特異エノラーゼ、neuron-specific enolase)
NSEは神経内分泌細胞に含有される解糖系の酵素であり、神経内分泌系の腫瘍マーカーとして用いられる。
血中NSEは神経芽細胞腫や褐色細胞腫などの神経内分泌腫瘍や肺小細胞癌で高値を示す。
また、その治療効果の判定や経過観察にも有用である。

16. NCC-ST-439
NCC-ST-439はシアリル糖鎖抗原で、消化器系の腫瘍マーカーとして利用される。  
血中NCC-ST-439は膵臓癌、胆道癌、大腸癌、乳癌などの多種類の腺癌で高値となる。

17. 尿中ポリアミン(polyamine)
ポリアミンは低分子の非蛋白性窒素化合物で、細胞の増殖や分化が活発になると増加する。尿中ポリアミンは広範囲の悪性腫瘍で尿への排泄量の増加を認めるが、良性疾患の疑陽性率が高いため、他の腫瘍マーカーと組み合わせて用いられる。

18. PIVKA-U(異常プロトロンビン、protein induced by vitamin K absence-2)
PIVKA-Uはビタミン欠乏時に産生される異常プロトロンビンの一種で、血液凝固因子としての活性を持たない。
血中PIVKA-Uは肝臓癌に特異性の高い腫瘍マーカーであり、肝臓癌の診断や治療経過の観察に有用である。

19. PA(前立腺特異抗原、prostate specific antigen)
PAはヒト前立腺組織から発見された糖蛋白であり、前立腺にのみ局在する。
血中PAは前立腺癌に特異的な腫瘍マーカーであるが、前立腺肥大症でも高値を示すため、PAP、γ-Smと組み合わせて用いられる。

20. PAP(前立腺性酸性ホスファターゼ、prostatic acid phosphatase)
PAPは酸性領域に至適pHを有する加水分解酵素で、体内で広く分布しているが前立腺で大量に合成される。血中PAPは前立腺癌の腫瘍マーカーとして、PAやγ-Smと伴に用いられる。

21. SCC(扁平上皮癌関連抗原、squamous cell carucinoma-related antigen)
SCCは扁平上皮癌細胞から抽出された抗原で、腺癌や未分化癌で陽性率は低いが扁平上皮癌では高い陽性率を示す。
血中SCCは子宮頚部、肺、食道、皮膚の扁平上皮癌で高値を示し、扁平上皮癌の診断や治療効果の判定に利用される。

22. シアリルSSEA-1抗原(sialyl SSEA-1 antigen)
シアリルSSEA-1抗原は癌胎児性の糖鎖抗原であり、血液型物質の一種でもある。
血中シアリルSSEA-1抗原は肺癌、卵巣癌、膵臓癌をはじめとする各種の腺癌で高値を示す、特異性の高い腫瘍マーカーである。

23. TPA(組織ポリペプチド抗原、tissue polypeptide antigen)
TPAは細胞内の骨格を構成している構造蛋白質であり、正常組織にも広く分布しているため、特異性の低い腫瘍マーカーである。
血中TPAは多くの悪性腫瘍で陽性を示すが、反面良性疾患における疑陽性率も高い。
しかし、癌の進行度に関連して測定値が増減するため、治療効果の判定や再発の予知などに用いられる。

24. γ-Sm(γ-セミノプロテイン、gamma-seminoprotein)
γ-Smは精漿から抽出された前立腺組織に局在する前立腺特異抗原のひとつである。  
血中γ-Smは前立腺癌に対する特異性の高い腫瘍マーカーであるが、前立腺肥大症では疑陽性率が高いため他の前立腺腫瘍マーカーと伴に用いられる。


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