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肺動脈血栓塞栓症
原発性肺高血圧症

●肺動脈血栓塞栓症とは
  肺動脈血栓塞栓症は、静脈の流れにのった血の固まり(血栓)が肺動脈を閉塞し、肺循環に障害をきたした状態をいいます。血栓は大部分が下肢の深部静脈もしくは骨盤内の静脈に由来しており、手術・外傷・長期臥床・妊娠などが引き金となります。最近話題になっているエコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢で座り続けることによってできた下肢の深部静脈血栓が原因となって起こります。また、血液凝固系に異常をきたす病気(プロテインC欠損症・プロテインS欠損症・抗リン脂質抗体症候群等)が血栓を形成する原因となることもあります。
 
  ●症状
    肺動脈を閉塞する血栓の大きさによって無症状のものから突然死をきたすものまでさまざまですが、一般的に突然の呼吸困難・胸痛を自覚することが多く、頻呼吸・頻脈・浮腫などが特徴的な所見として挙げられます。
 
  ●検査
    心電図・血液検査・胸部レントゲン・心臓超音波検査は他の疾患と鑑別するのに有用でありますが、最終的には肺血流シンチグラム・肺動脈造影・CT・MRIといった画像による血流欠損や血栓の描出が決め手となります。
 
  ●治療
   
原因となる血栓の溶解・除去が治療の中心で、薬物療法が主体となりますが、ほかに手術療法・静脈フィルター留置といった方法もあります。
A. 薬物療法
  i) 抗凝固療法 :
    静注・皮下注で用いるヘパリンと経口薬のワーファリンがあります。いずれも二次血栓形成予防に効果があることが確かめられています。
  ii) 血栓溶解療法:
    ii) 血栓溶解療法:
B. 外科的血栓除去術
  肺動脈を切開し直視下に血栓を取り除く方法ですが、内科的治療では予後不良と判断された場合に行われ、死亡率は数十%にも及びます。
C. 静脈フィルター留置
  再発防止を目的としており、抗凝固療法ができない場合や抗凝固療法を行っても深部静脈血栓が残存して再発したりする場合に行われます。
D. その他
  未治療の場合の再発率は約50%に及び、そのうちの半分近くが致命的であるという報告もあり、いったん発症した場合は特に適切な治療が必要になります。また、弾性ストッキングを使って静脈のうっ帯による血栓形成を予防したり、脱水にならないように適度の水分を補給することが有効となります。
 
●原発性肺高血圧症とは
  肺動脈の血圧が高くなった状態を肺高血圧といい、その原因となる疾患(先天性心疾患、心臓弁膜症、心筋症、肺血栓塞栓症、閉塞性肺疾患など)が明らかでない場合に原発性肺高血圧症と診断されます。肺高血圧が持続することにより最終的には右心不全をきたします。遺伝的要因や何らかの環境因子が関係しているといわれていますが、はっきりしたことはいまだ不明です。全国で数百人ほどの患者さんがいると推定されており、20−30台の女性に多い傾向があります。一般に有効な治療法はなく、生命予後は診断後数年です。
 
  ●症状
    労作時の息切れや易疲労感に始まり、進行すれば血痰が出たり失神を起こしたりします。
 
  ●検査
    最初に肺高血圧をきたす他の疾患を除外することが必要であり、血液検査、胸部レントゲン、心電図、呼吸機能検査、心エコー検査に加え肺血流シンチグラムなどが行われます。また右心系カテーテル検査で血圧、心拍出量などを測定することは必須となります。
 
  ●治療
   
対症療法が主体となり、肺血管抵抗を低下させる薬物療法、酸素療法などがあります。また同時に心不全対策、抗凝固療法等が用いられ、以上のような方法でも効果が得られないときは心肺同時移植も考慮されます。
A. 血管拡張薬
  肺血管抵抗を減少させ右心負荷を少しでも取り除くことがその目的であり、カルシウム拮抗剤、プロスタグランジン製剤、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、硝酸薬等が挙げられます。特にプロスタグランジン製剤に関しては、携帯型の輸液ポンプを用いた持続静注療法が開発され、プロスタグランジンI2という注射剤を24時間持続して投与する方法が注目されています。
B. 酸素療法
  低酸素血症を改善するのみならず肺動脈の拡張作用が期待できます。
C. 心不全対策
  一般の右心不全に対する治療と同様水分制限に加え、利尿剤、強心薬を使用します。
D. 抗凝固療法
  しばしば肺血栓症を合併するため抗凝固剤(ワーファリン)を内服します。
 
  ●その他
    日常生活においては心肺の負担を軽くするために重症度に応じて安静に過ごすことが重要であり、心不全をきたさないよう水分、塩分の摂取に留意する必要があります。また、若年女子の妊娠、出産は禁忌となります。
 
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