HOME 看護プロジェクト 各種疾患 Q&A 受診案内 国立大阪病院ホームページ
 

 
左心室造影
大動脈造影・下肢動脈造影
冠動脈造影
冠動脈攣縮誘発試験
右心カテーテル検査
心筋バイオプシー(生検)
血管内超音波法(IVUS)
血管内視鏡検査
冠動脈内圧測定とFFR(fractinal flow reserve)
心筋コントラストエコー法
虚血性心疾患評価における各モダリティの特徴

●左心室造影
  目的:左室壁運動、弁逆流などの評価や左室内圧測定
  方法:二方向から左室壁運動を動画撮影し、左室各区域の壁運動(右前斜位:#1〜#5、左前斜位:#6〜#7)、左室拡張/収縮末期容積、左室駆出率などの評価を行う、また、左室内注入された造影剤の流れ方から僧帽弁や大動脈弁の逆流の評価、左室内圧曲線から左室拡張末期圧や左室内圧較差、大動脈−左室圧較差を評価する。左室壁運動評価のゴールドスタンダードとして用いられることが多い。
 
●大動脈造影・下肢動脈造影
  大動脈弁逆流重症度評価のため、上行大動脈起始部にて造影剤を注入し、左心室への造影剤の逆流の程度を評価する。逆流の程度によってSellersのI〜Wに分類されている。また、大動脈起始部から注入された造影剤は上行大動脈・大動脈弓部・下行大動脈へと流れ、大動脈瘤など各部位の大動脈についての情報もある程度得られる。腹部大動脈瘤や閉塞性動脈硬化症では造影剤注入部位を腹部大動脈にて行い動脈走行に沿って走査し、動脈の蛇行拡張や狭窄・閉塞・側副血行路について評価する。
 
●冠動脈造影
  目的:冠動脈の解剖の詳細(病変の存在の有無・部位・分布・程度など)を知るための最も優れた検査法、虚血性心疾患の重症度診断・予後予測・治療適応・治療効果判定に有用重要な生命予後規定因子:左主幹部50%以上の狭窄・左心機能の低下した(LVEF<50%)3枝病変
  PTCAの初期成功および長期成績の予測因子:冠病変部位・狭窄度・血管径・病変長・血栓像の有無・石灰化の有無
  合併症:死亡は0.2%以下、脳血管障害・心筋梗塞・出血などの主要合併症は0.5%以下、最近の進歩:冠動脈解離→速やかなステント留置により心筋梗塞を回避、非イオン性造影剤の使用→アナフィラキシーショックも激減
  危険因子:左主幹部疾患・重症3枝疾患・低左心機能例・重症大動脈弁狭窄症・高齢occulo-stenotic reflex:適応を逸脱した冠動脈造影→臨床的意義の明らかでないPTCA/CABGの増加
  診断能:inter-observer/intra-observer variabilityなど評価における再現性の問題→エッジディテクション法やビデオデンシトメトリー法などの定量的冠動脈造影法の開発(1mm以下の正確性に問題)、内腔辺縁像のため壁性状・病変進展の程度についての情報は少ない
  適応基準:薬物療法に反応不良な狭心症、不安定狭心症、非観血的検査の結果ハイリスクと考えられる症例、左心機能低下例、陳旧性心筋梗塞、主要非心臓手術術前など
 
●冠動脈攣縮誘発試験
  目的:安静狭心症における冠動脈攣縮の証明および非定型的胸痛患者における冠動脈攣縮の除外
  方法:エルゴノビン(20−32μg)ないしアセチルコリン(20−100μg)の選択的冠動脈内注入後の冠動脈造影
  合併症:かつて行われていたエルゴノビンの大動脈内注入(0.05−0.2mg)では攣縮の寛解に長時間を要することや多枝同時攣縮によるショックで心肺蘇生を要することも、アセチルコリン負荷では高度徐脈を呈することが一般的で一時ペーシングが必要
  診断能:感受性・特異性とも80−90%と高いが攣縮の活動性の低い患者では誘発されないことも、攣縮の活動性の日内変動(誘発が早朝のみの例も)、既往のない症例での誘発や完全/亜完全閉塞に至らない冠攣縮の病的意義の評価も困難
  意義:冠攣縮の証明→狭心症として亜硝酸剤・カルシウム拮抗剤の長期投与が正当化される、多枝同時攣縮→長期予後不良、非定型的胸痛患者の冠攣縮除外は日本人において重要、陰性であっても狭心症を否定できない、確定診断なしに漫然と亜硝酸剤・カルシウム拮抗剤を長期投与することも問題
  適応基準:典型的な安静時胸痛あるいは再現性のない労作時胸痛を有するが心電図でとらえられていないもの、労作性胸痛に見合う程度の冠動脈狭窄が認められないものなど
 
●右心カテーテル検査
  Swan-Ganzカテーテルを用い、右心系の各部位(右心房、右心室、肺動脈、肺毛細血管)での圧測定および熱希釈法による心拍出量測定を行う。心機能、心血行動態を評価する上で重要、心不全の重症度分類であるForrester分類は、本法によって得られた肺毛細血管楔入圧(PCWP)および分時心拍出量(cardiac output, CO)を体表面積で補正した値(cardiac index, CI)に基づいてI型〜W型に分類される。ICUやCCUにおいて重症心不全など厳密な循環管理が必要な場合はSwan-Ganzカテーテルを留置し経時的な血行動態のモニタリングに利用される。
 
●心筋バイオプシー(生検)
  各種心筋症や心筋炎の病理診断、心臓移植後の拒絶反応の進行評価などに利用される。右心室からサンプルを採取する右心バイオプシーと左心室から取る左心バイオプシーがある。専用の生検用鉗子カテーテルをX線透視下に採取部位(右心室であれば自由壁を避け心室中隔など)へ誘導しサンプルを採取する。通常、2mm程度の大きさの心内膜面を含む心筋が採取される。採取したサンプルは目的に応じてホルマリン固定や電子顕微鏡用固定を施し病理検査をおこなう。採取時に注意しなければならないことは心室壁の穿孔や採取片による塞栓症、不整脈などである。
 
●血管内超音波法(IVUS)
  冠動脈壁の解剖:エコー輝度から内膜・中膜・外膜の3層に分離できる、内膜は肥厚がなければ明瞭に描出されない→IVUS上の3層構造は粥状硬化の存在を示す、最内層のplaqueをsoft・hardに分類
  用途:血管断面積の計測、PTCA後の冠解離の検出に鋭敏、ステントの適応を決める上でも有用、plaqueの組織性状評価とデバイスの選択(石灰化plaque→rotational ablationシステムをもちいたdebulking、偏心性多量plaque→DCA、大きなフラップや不十分な拡張→ステント)
  ハード面:カテーテル径は2.9−3.5Fのものが主流、超音波波長は30−40MHz、超音波振動子はソリッド型と機械走査型(1800rpmで回転)、計測はビデオ記録を画面上でトレース
  Glagov現象:血管のリモデリング−血管断面に占めるplaqueの割合が40%以下までは血管断面の拡大が生じて内腔面積の狭小化を代償する減少がIVUSにて解明された
 
●血管内視鏡検査
  血栓およびプラークの診断に有用(従来は影絵であった冠動脈造影により経験的判断から治療選択がなされてきたが、冠血管内視鏡により客観的な判断で治療選択が可能になった)
  血栓の種類:赤色血栓(赤血球主体)・白色血栓(血小板主体)・混合血栓(両者の混合)プラークの種類:表面の色調から、黄色プラーク(線維性被膜が薄く大きなlipid coreを有するvulnerable plaque)・白色プラーク
  狭窄は解離?血栓?の確定診断:血栓が強く関与→血栓溶解療法を中心とした抗血栓療法、解離が強く関与→ステントが第一選択、PTCA後の内腔への突出物→ステント留置が有用
  ハード面:冠血管内視鏡システム=内視鏡ファイバー(照明用+画像用)+誘導カテーテル、観察の際に障害となる冠血流を遮断するために先端部のバルーンを膨らませ生理食塩水や低分子デキストランを注入して可視化、画質は照明用石英ファイバーの本数によってきまる(3000−6000本)
  性状診断:責任病変における黄色プラークは、ACSの50〜100%に見られ労作性狭心症の15〜69%より高頻度(ACS発症への黄色プラークの関与を示唆)、黄色プラークは有意狭窄のない部位にも存在、黄色プラークは冠動脈硬化の存在を意味(頻度や程度が強いほど進行していることが推測される)
  治療評価:インターベンション後の病変部活動性を評価(病変部に血栓→内皮形成が未熟で依然として危険)、ステント留置後の内膜被覆(6ヶ月で内膜被覆完了、3年で内膜修復機転は終了)
 
●冠動脈内圧測定とFFR(fractinal flow reserve)
  FFRを求めることにより冠動脈狭窄の機能的重症度を評価できる
  FFR:FFRmyo(心筋部分血流予備量=側副血行血流も含めた心筋血流全体を評価)、FFRcor(冠動脈部分血流予備量=側副血行血流を除いた冠動脈血流を評価)、FFRmyo=0.5→最大充血時に狭窄のない場合の50%しか供給されない、FFRmyo<0.75が機能的に有意で虚血の原因となる、冠動脈形成術時の終了点としてFFRmyo≧0.90が目安
  FFRmyo=(Pd-Pv)/(Pa-Pv)、FFRcor=(Pd-Pw)/(Pa-Pw)、最大充血時の狭窄遠位部平均冠動脈圧Pd平均中心静脈圧Pv大動脈圧Paと冠動脈閉塞中の狭窄遠位部平均冠動脈圧Pw
  ハード面:圧センサー付ガイドワイヤ(圧波形は正確も専用モニターが必要)とfluid-filled圧ガイドワイヤ(通常の圧トランスデューサに接続可能)
  利点と問題点:手軽に冠動脈狭窄の機能的重症度を評価でき心筋虚血の原因となるか判断判断可、PTCAのガイドワイヤとして使用可、術前の様々な負荷試験を省略可、冠動脈造影時に必要に応じて形成術を追加あるいは不必要な形成術を回避できる、データの再現性よく術者間・測定間の誤差が小さい、血行動態の変化や他枝病変の有無に左右されない、しかし、圧ガイドワイヤ操作には若干の習熟が必要、診断カテーテル時にはFFRmyoのみ計測できる
 
●心筋コントラストエコー法
  血液中に注入した微小気泡をエコーのコントラスト源として心筋血流を可視化する方法冠動脈内注入や経静脈注入(肺血管床を通過できるもの)
  心筋梗塞:責任冠動脈完全閉塞+心筋線維化していればコントラストによる染影を認めない
  狭心症:安静時血流の差は少ないのでドブタミンやATP負荷により灌流の相違を評価、心内膜側の方が虚血を起こしやすいので頻拍負荷時には心内膜側の染影が少ない
  ハード面:バブルを可視化するための特別な方法−ハーモニック法(反射波の2次高調波を画像化)・超音波の間歇送信法(超音波による微小気泡の破壊を極力抑える)・フラッシュエコー法(微小気泡が超音波で破壊されるときに強い反射波を出すことを利用)・パワードプラ法(バブルの崩壊により認識されやすい状態となる)
  コントラスト剤:ヨード造影剤を用いた用手攪拌法(注射器と3方活栓を利用)、レボビスト(ガラクトース結晶の溶解を利用)
  冠動脈注入法:急性心筋梗塞再灌流療法後の心筋救済効果の判定−no reflow現象(微小循環障害が発生?)
  経静脈的コントラストエコー法:ドプラ信号増強効果・心腔コントラストエコー法(心内膜面の同定)・心筋コントラストエコー法(慢性期心筋梗塞の心筋血流観察や狭心症の虚血部位の同定−心筋梗塞急性期の適応はとれていない!)
 
●虚血性心疾患評価における各モダリティの特徴
 
モダリティ 壁運動 冠動脈 心筋血流 心筋代謝
viability        
運動負荷心電図
       
ホルター心電図
       
心エコー ○(コントラスト)
○(負荷)        
心血管造影法
 
トップへ