国立大阪病院 外科のご案内
〜疾患別の紹介〜
肛門疾患(痔、痔瘻、排便障害)

 欧米では日本とは違い肛門疾患、排便障害にこだわる国民性が あります。しかし日本では恥ずかしくて医者といえども他人に見せたがらない国民性があります。当院では従来、不透明であった肛門疾患、排便障害に対する透明性のある治療を行う目的で開設 されました。当院の使命として、通常の施設では対応困難としてともすれば敬遠される傾向にある難病(炎症性腸疾患、HIV感染、等)や合併症(循環器疾患、呼吸器疾患、腎疾患、脳血管障害、糖尿病、がん、等)を有する肛門疾患患者様にも根拠のある適切な対応をいたし、経験豊かな専門医による治療をご提供することが出来ます。肛門疾患の治療には「良いお通じ」が必須ですので肛門の治療といっしょに排便のコントロールを行うのが当科の方針です。(肛門が悪くなくても排便困難だけの方もご遠慮なく受診下さい。)
以下に当科での治療の方針、概略を提示いたします。

1. 肛門疾患
肛門疾患の代表には次の3つがあります。
a. 痔核(イボ痔)
 痔核の治療には大きく分けて@内服や軟膏による保存的治療、A硬化薬剤による硬化療法〔薬剤で固める〕、Bゴムバンドによる痔核結紮(けっさつ)〔ゴムで縛る〕、C切除術の4つがあります。当院では以上の治療法をグレードに応じ決定しております。(組み合わせ治療が必要な場合もあります。)当院の基本術式は肛門上皮、クッション温存痔核結紮切除術(高野式)が標準です。症例によってはPPH(自動縫合器)による痛みの少ない手術も行っています。ちなみに痔核が飛び出ることを「脱肛」と言いますが多くは切除が必要です。

b. 痔瘻(穴痔)
 肛門周囲に膿が溜まる疾患である「肛門周囲膿瘍」の多くの行く末です。当院では痔瘻をタイプに分けて術式を決めております。痔瘻の基本術式は括約筋温存瘻管くり抜き法です。本術式は肛門括約筋を可及的に温存し瘻管をくり抜くため後の肛門機能を損なうことが少ないのが利点です。ただし腸疾患が原因の痔瘻にはシートン(セトン)法(ゴムによる経時的痔瘻離断術)を行うこともあります。

c. 裂肛(きれ痔)
 裂肛の治療は、まずは排便コントロールや軟膏などによる保存的治療ですが難治例や狭窄(狭くなること)を伴うものは手術(肛門形成術)が必要と考えています。
 
肛門疾患の外科治療は、昔は「いかに再発をなくすか」でしたが今は「いかに機能を損なわずに治療をするか」に変わっています。

2. 排便障害(便秘症、排便困難症)
 排便障害の代表は「便が出ない」、いわゆる便秘症ですが「便が出ていても」排便障害である場合がありますのでご注意下さい。例えば「1日に排便は3回あるがどうもすっきりしない」などです。
排便障害には大きく分けて結腸型(大腸型)と直腸肛門型があります。例えば水道に例えますと結腸型は「水道管」、直腸肛門型は「蛇口」にあたります。水が出にくいのは「水道管」の問題なのか「蛇口」の問題なのか、すなわち大腸の問題なのか直腸肛門の問題なのかによって治療法が異なってきます。しかし、多くの医療施設ではこれらの原因を無視した単なる下剤(センナ系、漢方系薬剤)の投与で済まされているのが現状です。センナ系、漢方系の薬剤は、最初は良いのですが耐性があるためそのうち効かなくなり挙句の果てに腸が動かなくなることもありますのでご注意下さい。


a. 結腸型排便障害(「水道管の問題」)
 いわゆる便秘症がこれにあたります。がんやポリープに代表される腫瘍性疾患の他、クローン病、潰瘍性大腸炎、感染症などの炎症性腸疾患や最近話題の過敏性腸症候群が原因のことがありますのでこのような方は一度大腸の精査をお勧めします。上記疾患が除外できれば内服治療を開始します。

b. 直腸型排便障害(「蛇口の問題」)
便は直腸まで来るがそこから「出せない状態」や「出っ放しの状態」です。原因には次のような疾患があります。
@ 直腸がん、ポリープ
A 直腸脱:肛門から直腸が脱出する病気。多くは便失禁を伴っていることが多い。
B 直腸重積(下図参照):過度のいきみで直腸が陥入し便が出せ ない状態。
C 直腸瘤(ちょくちょうりゅう)(別名直腸膣壁弛緩症) (下図参照):直腸と膣の壁が薄く排便のいきみで膣側に直腸が突出し便を出せない状態。子宮摘出の既往のある人に多い。
D 恥骨直腸筋奇異性収縮(下図参照):肛門括約筋の一つである恥骨直腸筋が排便時に本来、開かなければならないのが逆に閉まってしまう状態。
E 直腸がん術後症候群:直腸がんの手術を受けたが便の排出で困る(「排便回数は多いがすっきり出ない」などの症状)状態。
F 便失禁:年齢、お産、外傷、手術などが原因で便が漏れてしまう(下着を汚してしまう)状態。お産後何年も経ってから症状が出ることも多い。
*@とAは手術が必要なことが多い疾患ですがBからFはまず保存的に内服治療が原則です。
ただし排便障害全般的に言えることですが治療には長期間かかることが多く即効性、短期決戦は無理なことが多い疾患です。(中には短期で治るものもありますが。)世間一般では「便が出ない」と言えば即「下剤」と簡単に済むように思われがちですが実際は簡単ではありません。巷でインターネットや通販などで簡単に下剤や洗腸療法キットが手に入ることができることはあまり好ましくないことです。この機会に是非、専門医を受診されてみてはいかがでしょうか。



経験豊富な大腸肛門病学会専門医が診療(もちろん保険内診療です。)にあたりますので安心して受診してください


毎日悩むよりも一度診察を受けて
安心しましょう!!

行っている検査
直腸肛門内圧検査、肛門エコー、排便造影、大腸内視鏡、注腸検査