腹腔鏡手術の積極的な取り組み  
 

腹腔鏡手術とは小さな傷(12cm)を35ヵ所おき、内視鏡や手術操作器具を使用して行う治療法です。術後疼痛も少なく、早期離床・早期退院が可能となるいわゆる低侵襲手術を様々な分野で行っています。手術手技が安定し、周辺機器の開発・改良によりさらに安全かつ確実な治療法となっています。
当院には泌尿器腹腔鏡技術認定医が4名在職しており、多岐にわたる疾患で腹腔鏡手術が可能となっています。以下の手術術式が代表的なものです。

  1. 副腎腫瘍: 腹腔鏡下副腎摘除術(単孔式を含む)
  2. 腎腫瘍: 後腹膜鏡下腎摘除術・後腹膜鏡下腎部分切除術
  3. 腎盂尿管腫瘍: 後腹膜鏡下腎尿管摘除術
  4. 前立腺癌: 腹腔鏡下前立腺全摘除術
  5. 膀胱癌:腹腔鏡下膀胱全摘除術
  6. 腎盂尿管移行部狭窄症: 腹腔鏡下腎盂形成術

 腹腔鏡手術における3Dモニターの導入  
 

2015年より腹腔鏡手術において3Dモニターを標準的に使用しており、通常の2Dに比較して立体的な解剖が鮮明に描出され、より繊細な手術が可能となっています。特に腎部分切除術における腫瘍切除や腎縫合、前立腺摘除術における頚部離断や神経温存などに極めて有用と言えます。

 
 軟性尿管鏡とレーザーを用いた経尿道的腎尿管砕石術(f-TUL)  
 

尿路結石症の治療は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)・経尿道的腎尿管砕石術(TUL)が大きな柱となっています。
当院では3mm径で2チャンネルの軟性ファイバーと200μのレーザーを用いた経尿道的腎尿管砕石術(f-TUL)を行っています。従来の硬性鏡では治療できなかった腎結石にも対応可能で、高い完全排石率を実現しています。

 
 大きな腎結石に対する経尿道的腎尿管砕石術(f-TUL)併用の細径PNLスコープを用いた
   経皮的腎砕石術(TAP TUL-assisted PNL)
 
 

サンゴ状結石などの大きな腎結石に対する体外衝撃波結石破砕術(ESWL)・経尿道的腎尿管砕石術(f-TUL)単独療法は手術時間も長く、治療期間も長期となり完全排石が困難です。
経皮的・経尿道的なアプローチで同時に砕石・抽出するTAPは短期間での治療が可能です。

 
 前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺核出術(TUEB)  
 

前立腺肥大症に対する手術療法は現在も経尿道的前立腺切除術(TUR-P)が標準治療と言えます。しかし大きな前立腺の場合は出血量が多く、灌流液によるTUR反応などの合併症が問題となることがあります。
経尿道的前立腺核出術(TUEB)は経尿道的に前立腺を外科的被膜に沿ってくり抜き、前立腺を一塊に膀胱内に遊離します。遊離した前立腺で細切・吸引する機能をもつモルセレーターを用いて体外にとりだします。TUEBは出血量を減少させるとともに確実な前立腺切除を可能とします。生理食塩水を使用するTURisシステムを用いるためTUR反応が起こることはありません。

 
 正確な前立腺癌診断  
 
検診などでPSA高値を認めた時に前立腺癌をいかに診断するかは重要です。外来でmultiparametric MRIを施行し、放射線診断医とカンファレンスで検討を行います。前立腺生検術は2泊3日で行い、経直腸的生検に経会陰生検を追加した16ヵ所生検により確実に診断を行っています。腰椎麻酔(サドルブロック)で行うため、全く痛みがなく施行することが可能です。  
 限局性前立腺癌に対する治療  
 

前立腺に限局する癌の治療は手術療法と放射線療法が大きな2本の柱となっています。
手術療法は低侵襲である腹腔鏡下前立腺全摘除術とミニマム創前立腺全摘除術(認定施設基準)を行っています。
腹腔鏡下前立腺全摘除術は12cmの傷5ヵ所で前立腺を摘出し、尿道を吻合する術式です。開腹手術に比べ出血量が少なく、拡大視野で繊細な操作を行うため癌のひろがりに応じて神経温存も可能です。入院期間は約1014日程度です。
放射線療法は強度変調放射線治療(IMRT)と高線量率組織内照射法(HDR-ISBT)を行っています。放射線治療医と協力体制を密接にとりながら治療を行っています。
強度変調放射線治療(IMRT)は従来の外照射に比べ隣接臓器への影響を低減して前立腺に集中して照射することが可能です。外来通院で治療可能で、治療期間は約2ヵ月です。
高線量率組織内照射法(HDR-ISBT)は内照射を短期間(4日間7回)で集中的に行う治療で、約14日間の入院が必要です。

 
 小児泌尿器科領域の手術  
 

包茎や陰嚢水腫・停留精巣など小児泌尿器科疾患の手術適応を正確に判断し、手術を施行することが可能です。高度な奇形や性分化異常などはより専門的な施設への紹介を柔軟に行います。